■ニュースの概要■ 今年も韓国にとって「ノーベル賞」受賞者発表という暑い季節がやってきた。2021年9月23日、韓国メディアらが伝えたところによると、米国の情報調査会社・クラリベイトが予想した今年のノーベル賞有力候補16人に、韓国人研究者1人が含まれていたことが分かり、受賞への期待を膨らませていることが分かった。クラリベイトは、研究者の論文の引用件数やその分野の発展に対する貢献度を考慮して、毎年ノーベル賞の受賞に相応しい人物を選出し、有力候補者として発表している。過去2002年から2020年までにクラリベイトが選出した候補者376人のうち、合計59人が実際に受賞していることから、その予想には一定の信頼性がある。今年2021年のノーベル賞有力候補16人の中には、日本人科学者が3人、韓国人科学者が1人含まれていた。韓国メディアらによると、この韓国人研究者は、ウイルス学者のイ・ホワン高麗大学名誉教授(92)で、韓国では「ウイルス研究の父」「韓国のパスツール」などと呼ばれているという。1976年に、セスジネズミの体内から韓国出血熱の原因となったハンタ・ウイルスを同定・分離した。1950年代、朝鮮半島の休戦ライン付近にいた国連軍3200人が原因不明の高熱、腎機能低下の症状を呈し、数百人が犠牲となった。その二十数年後、イ・ホワン教授はこの韓国出血熱の原因ウイルスを特定し、その後1988年には予防ワクチンを開発した。クラリベイトは、イ・ホワン教授の研究は、腎症候性出血熱の分野の発展に寄与したとして、ノーベル生理学医学賞候補の一人に挙げた。なお韓国の研究者が、クラリベイトの有力候補者に選出されたのは、これで通産5人目となる。しかし、これまで韓国からノーベル賞の科学賞を受賞した事例はない。韓国メディアらは、韓国初のノーベル科学賞受賞に熱い期待を寄せている。
引用・参考:https://newsis.com/view/?id=NISX20210923_0001590833
https://www.mk.co.kr/news/it/view/2021/09/909552/
https://www.interview365.com/news/articleView.html?idxno=99235
■ニュースを深堀り■ さて米国の情報調査会社クラリベイトは、今年16人の有力候補を選出したが、日本人科学者としては、岸本忠三(きしもと・ただみつ)氏、平野俊夫(ひらの・としお)氏、澤本光男(さわもと・みつお)氏の3人の名前を挙げた。岸本忠三・大阪大学特任教授(82)と平野俊夫・量子科学技術研究開発機構理事長(74)は1980年代、共同で関節リウマチの発症などに関わる免疫物質「インターロイキン6」を世界で初めて発見し、その生理的・病理的作用機序の解明に成功した。インターロイキン6は、免疫の暴走であるサイトカイン・ストームの原因物質である。これら研究の成果として開発された免疫抑制剤・トシリズマブ(商品名・アクテムラ)は世界110カ国以上で承認され、数百万人以上の治療に寄与している。またアクテムラは、新型コロナウイルスによって発症する肺炎の治療においても有効性が期待され、世界的な注目を浴びた。クラリベイトはこうした研究・貢献度を評価し、岸本忠三氏、平野俊夫氏を2021年ノーベル医学生理学賞の有力候補に推した。一方、澤本光男・京都大学名誉教授(69)は、日本の高分子化学者であり、2021年のノーベル化学賞候補に推された。1995年に「原子移動ラジカル重合」を開発し、カーネギーメロン大学のクリストフ・マテャシェフスキー氏と同時期・独立に報告を行った。この論文は、1997年から2001年までの5年間で多くの論文に引用され、その引用回数が日本で1位、世界で3位となるなど、その後の高分子合成研究に多大な影響を与えた。原子移動ラジカル重合の開発は、高分子を美しく精密に合成する手法を確立したと評価されており、現在の製品では耐久性に優れたゴムや液晶表示用フィルムなど、多様で高性能なポリマーの開発・実用化に大きく寄与することとなった。なお、近年のノーベル科学賞の受賞者の傾向としては、研究・開発そのものの重要性もさることながら、その後の実用性、実利性、すなわち人類に対して実際に発生した利益への貢献度が大きく評価されるようだ。その意味では、3人の日本人科学者らは、人類に対する高い貢献度を示していると言えそうだ。
今回のテーマは「韓国メディア、日本のノーベル賞候補、韓国のノーベル賞有力候補!」でした。こうした報道が大手ポータルサイト・ネイバーに掲載されると、韓国国民から以下のような反応が見られました。「今回は候補で終わらずに、何とか受賞して欲しいものです」「いつも有力候補のみで終わる、それが韓国の実力です」「基礎科学に投資しない韓国は、いつまで経ってもノーベル賞など獲れません」「韓国初の金大中の平和賞は、莫大なお金を払って買ったようなものだからね」「韓国出血熱は欧米ではあまり見られない疾患なので、イ・ホワン氏の受賞は難しいようです」「もう、ノーベル賞の歌は歌わないでください。子供がお菓子をおねだりしているようで、とても恥ずかしいです」「ノーベル災害賞はないのか? ノーベル災害賞なら文在寅は間違いなく有力候補になれるよ」このように韓国では、韓国メディアらが騒ぎ立てる反面、ネット市民らは既に諦めムードで眺めているようです。なお、ノーベル科学賞を受賞することは科学者にとってはとても名誉なことですが、一方、ノーベル賞の選考はスウェーデンの王立科学アカデミーやカロリンスカ研究所が非公開で行うため、全てを完全かつ公平に網羅することは不可能で、運も相当に必要となります。日本人科学者3人が有力候補に選出されたことは大変喜ばしいことですが、発表は静かに待つのが良いようです。今年のノーベル賞の発表は10月4日から始まります。以上、甘井香織がナビゲートいたしました。みなさんは、どう感じられましたか?
引用・参考:https://clarivate.com/ja/news/citation-laureates-2021-202109/
https://www.yomiuri.co.jp/science/20210922-OYT1T50180/
http://takubo-clinic.com/rheumatology/
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO37631330Q8A111C1MY1000/
https://news.naver.com/main/read.naver?m_view=1&oid=009&aid=0004855370
■使用楽曲提供:
「甘茶の音楽工房」様 https://amachamusic.chagasi.com/
「ミュージックノート」様 http://www.music-note.jp/bgm/
■甘井香織です。YouTubeポリシーに準拠したご意見・ご感想が製作の励みになります。チャンネル登録はこちら→ http://www.youtube.com/channel/UCOHjxgf8CpNyg6gRMk8vurg?sub_confirmation=1
Comments