東京都が飲食店での人数制限について、12月からの緩和を発表するなど新型コロナの感染状況が一息つきつつある中、気になるニュースが入ってきました。南アフリカで新たな変異ウイルスが検出されたというのです。いま「わかっていること」「わかっていないこと」を一つ一つ見ていきます。
ホラン千秋キャスター:
南アフリカで検出された新たな変異ウイルスについて、国際医療福祉大学感染症学講座主任教授の松本哲哉さんにお話を伺います。よろしくお願いいたします。
井上貴博キャスター:
未知の物に対しては恐怖を煽られやすいというところがありますので、いま「わかっていること」「わかっていないこと」を一つ一つ冷静にと考えています。
■会食は8人までOKに
井上キャスター:
その変異ウイルスの話の前に一つだけ、東京都の動きを伝えさせてください。飲食店の「認証店」に関して、1つのテーブルあたり4人までとしていた会食の人数について、8人までいいですよということに条件が緩和されそうです。
これは東京都のことですが、近隣県の神奈川・千葉・埼玉ではもう既に人数制限は撤廃済みです。9人以上はとなると、ワクチン接種証明書やPCR検査の陰性証明書が必要になるという措置です。この人数については25日に都の担当者から「中華料理店や結婚式会場の円卓などはおおむね6人~8人程度ということを考えると、それを上回ると“大規模な会食”になる」ということでこの8人という線引きにしたという説明がありました。
ホランキャスター:
なかなかまだ大人数で会食という機会はないですけれども、緊急事態宣言などが解除されてからはそろそろご飯に行こうか、みたいなやりとりは増えたという感じはありますか。
歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
緊急事態宣言解除前はもう会食自体が全くゼロみたいな感じだったんですけど、少人数で何回か出ていったことは正直ありますね。
でもやっぱり、行ってみて思ったのは、以前行っていた店が感染対策がすごく進んでいたりとか、それぞれがここまでの中で動いてきたんだなというのが感じられましたね。
ホランキャスター:
それでもやはり人気だった飲食店でも空席があったりすると、飲食店の皆さんはまだまだ厳しいんだなという感じはありますよね。
■ワクチンの接種率は
井上キャスター:
慎重に進めながらというところなのかもしれませんが、徐々に生活を取り戻していく中で、25日に行われた厚労省のアドバイザリーボードでこんな話が出ました。まずはワクチンの接種率についてです。
どのくらい高まると感染予防の効果が高いのかということで、専門家から85%が望ましいのではないかという数字が出てきたようです。今までは70%ぐらいを目指して頑張っていきましょうと言ってきた中で、またゴールポストを変えられるのはどうなんだという声もあるんですが、25日のアドバイザリーボードでは、85%という数字を示していたようです。それにしても今、日本は76.5%(11月26日時点)と高いワクチン接種率です。そして自然感染率(5%・想定)を考えますと、85%という数字にかなり近いところまでもう既に来ています。これは大変高く評価できるところのようです。
今後注意が必要な点として、今までもこの繰り返しでしたが、海外から強い変異ウイルスが入ってきて日本国内でも検査陽性者が増えていくことです。そして、その新たな変異ウイルスについて大きなニュースが入ってきたわけです。
■新たな変異ウイルスの特徴は
検出された場所は南アフリカです。まだわかっていないところが多いので可能性の域です。特徴として、まずデルタ株よりも感染力が強い可能性があります。感染力が強いものが生き残ると考えれば自然なことではあります。そして、抗体の効果が弱まる可能性、つまりワクチン・抗体薬が効きにくい可能性が指摘されています。
確認例として26日時点では、ボツワナで4例、南アフリカで77例ということです。南アフリカでは約3週間で解析した検体のほとんどがこの新たな変異ウイルスになったということです。
そして早く手を打った国として、例えばイギリスでは、既に11月26日以降アフリカ南部6か国からの航空便の乗り入れを見合わせました。南アフリカのみならずその周辺国も含めて、やはり外からウイルスが入ってくるリスクが多いのであれば、そこを止めていこうという措置を講じている国もあります。
そして、今まであまりこのデータは使ってこなかったんですが、どなたでもご覧いただけるインターネットサイト上にあるデータです。各国のオープンデータをアメリカとスイスの機関がまとめたものをホームページから抜粋しました。(NextstrainHPより)数多くの変異ウイルスがどれくらい変異しているのかというデータです。
このデータを見ると、20~30ぐらい変異したものが多い気がします。ですからこれまでの変異というのは多くても20~40ぐらいの変異だと思われていた。それがどうも今わかったこととしては、新たな南アフリカの変異ウイルスは50以上の変異をしているということです。今までより多くの変異をしたから勝ち残ってきて、より強く進化した可能性があるということがこのデータからも見てとれるということなんだそうです。
■専門家の見解は
ホランキャスター:
この50以上の変異というのは何分の50くらいなんでしょう。いくつパーツがあるうちの50の変異なんでしょうか。
国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授:
ウイルスの遺伝子の箇所は相当な数あります。ただ大事なのは数だけではなく、どれぐらい性質が変わったかということになると思います。特に今回の南アフリカで見つかっているものは「Sタンパク」というウイルスの突起の部分に集中してウイルスの変異がかなり多く認められているということなので、今までの変異と比べてもかなりレベルが高いというか、変異の程度が大きい。そうなると当然ワクチンも効きにくいだろうし、抗体も効きにくいかもしれない。見つかったウイルスの性質からこのように考えられます。
ただ感染力あるいは病原性については、症状がどれぐらい強いのかということを含めてまだわかっていません。ただやはりこのウイルスを調べた研究者は、かなりの変化なのでここは注意してほしいというアラートを出しているんだろうと思います。
(26日18:02)
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