コロナウイルス 国内で変異か、遺伝子解析の最前線に密着

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今後、感染の主流になるのではと心配される変異ウイルス。遺伝子解析の最前線を取材すると、その変異が日本国内でも起きている可能性があることがわかりました。

 国立遺伝学研究所、最先端の遺伝学を研究しています。

 「この5サンプルが今回、倉持先生のところから来たサンプルで」(国立遺伝学研究所 川上浩一教授)

 今月上旬、栃木県の「インターパーク倉持呼吸器内科」から新型コロナに感染した5人の唾液の検体の提供を受け、遺伝子解析を進めてきました。これは磁力を使ってウイルスのDNAと、不要なものを選り分けているところ。下のほうの茶色い球体部分にDNAが吸着しています。ほかにも様々な工程を経て抽出されたDNAを、遺伝研では「次世代シーケンサー」という最新の装置で分析します。

 「ここに穴が開いているんですけど、ここにDNAを通して、これで塩基配列を解析して」(国立遺伝学研究所スタッフ)

 この解析で分かるのが、アルファベットのアミノ酸配列です。今回、遺伝研が解析した栃木県の5検体のうち3検体には、この中の484番目の配列が「E」から「K」に書き換わった、「E484K」という変異が見つかりました。これは、南アフリカ由来の変異ウイルスなどと同じ変異の仕方です。ただ、今回の栃木のウイルスにはさらにほかの部分にも変異があり、日本国内で変異を起こした可能性があることが分かったのです。

 「日本の中でちょっとずつ変異しながら広がっているんじゃないかということを示していると思います」(国立遺伝学研究所 川上浩一教授)

 現在、全国の地方衛生研究所では、変異ウイルスを見つけるためのスクリーニング検査が行われています。これは、感染力が強い可能性がある「N501Y」という変異があるかどうかで判定する簡易な方法で行われています。今回の変異ウイルスには「N501Y」の変異がないため、スクリーニング検査ではこれが変異ウイルスだと確認することはできません。

 一方で、今回の変異ウイルスには危険性も・・・。
 「心配なのはこの(今回のウイルスが持つ)E484Kは免疫逃避型と言われていて、今までにかかった人がもう一度かかるだとか、ワクチンの効果を減じる可能性がある」(国立遺伝学研究所 川上浩一教授)

 つまり今回の変異ウイルスは、スクリーニング検査で把握されないうえに、ワクチンが効きにくい可能性があるのです。実は、これと同じ特徴の変異ウイルスは、スクリーニング検査とは別に集めた検体から国立感染症研究所が行っている遺伝子解析では、すでに全国で394件が確認されています(21年3月3日現在)。ただ、この変異があるだけでは発表対象に当てはまらないとして、国が発表する変異ウイルスの感染者数には含まれていません。

 今回、検体を提供した栃木県の倉持医師は・・・。
 「全例、極力、遺伝子解析まで持って行くという、それをやらないと本当の臨床像とか、あるいは基礎的なデータというのは集まりませんから」(インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長)

 変異ウイルスの流行を防ぐため、遺伝子解析体制の拡充が求められています。(26日15:42)

#新型コロナウイルス  #COVID19  #遺伝子

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